Artist's commentary
オサレルナサ
今年の冬は一人で過ごすことになりそうだ。…いや、恋人がいないわけじゃない。いるのだが――今年は忙しいらしい。
信じてもらえないかもしれないが、俺の恋人はいわゆる『アイドル』なのだ。年末近くともなると歌番組やら何やらで
仕事が多く、二人の時間を取れなくなる。
おかげさまで、アイツと最後に逢ったのは何ヶ月前になるか―――。
…いや、不満はないんだ。アイツがアイドルとして仕事が多いのはいいことだし、何よりアイツが、アイツの夢見た舞台に
立って輝いてることは大変喜ばしい。
それに―――こないだみたいに電話口であんなに必死に謝られたらこっちはもう何も言えないだろ?
そんなわけで――俺はこれから先のスケジュールに頭を抱えていた。
親友でも誘って飲みに良くか?…とか考えていたとき。
クン――
不意に腕を引かれる。慌てる俺。
見れば一人の女の子が俺の腕を引いていた。
どちらさまで・・・?
と聞こうとすると。
『――わ、私だ…。』
似合わないメガネをおろすアイツ。
『当分会えそうもないから…無理言って少し抜け出してきたんだ…。』
『クリスマスも会うことは無理そうだから…す、少し早めのクリスマスプレゼントを貰いにきたんだ…』
―――クリスマスプレゼント?俺、何も用意してないぞ…。
『さ、察しろばかっ…。お、お前とのデートが私のクリスマスプレゼントだよ…///』
頬を染め、目を背けるアイツ。
――…そうか。そういうことなら。
『…あ』
俺はアイツの手をとり歩き出す。
『ルナサ、ホテル行こっか!』
ルナサの拳が顔面にヒットした。
…というところまで妄想した。