Artist's commentary
【結あかSS】 流した涙は…。
※pixiv #32092330 »の続きです。
―――結衣宅・玄関―――
◆あ「今日はお邪魔しちゃってごめんなさいね、コーヒーおいしかったわ♪」結「いえ、こちらこそ。本当にありがとうございました、これから…きっとあかりを幸せにしてみせます。」あ「うん、私も久々にあかりの笑顔を見たいし、楽しみにしてるわ。」結「はい、任せてください。」あ「ふふ、本当に頼りになる子ね♪ …あ、そうそう。これからちょくちょく、あかりの顔を見に来させて貰ってもいいかしら? 結衣ちゃんとも一緒に、色々楽しくお喋りしたいし。」結「もちろんです、いつでもお待ちしてますよ。」あ「ありがと♪ じゃあ…またね。あかりにもよろしく言っておいて頂戴ね~!」結「はい!お姉さんもお元気でー!」―――
◆こうして、あかりのお姉さんは帰っていった。―――結「もう、悩む必要はないんだよな…本当に良かった。でも結局、自分ひとりでは何も出来なかった…。いつか、あかりと一緒にお姉さんに恩返しをしないとな…。」―――向こうへ歩いていくお姉さんの背中を見届けつつ、私は玄関のドアを閉めた。―――
「ゆいちゃ~ん……。」
◆結「…っ!?」―――ぎょっとして振り返ると、そこには顔を真っ赤にし、目いっぱいに涙を溜めたあかりが立っていた。―――結「あ、あかり…!?―――」―――起きていたのか、そう言おうとした瞬間、あかりが泣きながら私の胸に飛び込んできた。―――
(※挿絵2)
◆あ「ゆいちゃあああぁぁぁん!!」結「うわっとと!…あかり、ごめんな…私がいなくなったと思ったんだろ、ちょっと用事で玄関に出てただけなんだ、だから―――」あ「ううん、違うの…あかり、ずっと起きてたんだよ…。」結「……え!? い、いつから…?」あ「インターホンが鳴って、結衣ちゃんがお布団から出た時くらいから…。」結「…! …てことは、私とお姉さんが話してた事も全部…!?」あ「うん、聞いてた…全部聞いてた。…でもあかり、怖くて起きれなかったの…お姉ちゃんに怒られちゃうんじゃないかと思って、ずっと寝たふりしてたの……そしたら、そしたらお姉ちゃんがほっぺにチューしてくれて……それで、大好きって…言って…ふ…ふええぇぇぇぇん!!」結「……あかり。」あ「ぐすっ…、あかりっ…もうっっ悩まなくてもっ…いいんだよね…ひっく…、結衣ちゃんと、ずっと一緒に居られるんだよね…!…おっ…お姉ちゃんにも…会えるんだよね…!」結「…うん、そうだよ。全部お姉さんが許してくれたから、もうあかりは何も悩む必要はないんだ…。」あ「うっ…ううぅっ」結「今まで、よく頑張ったな…あかり。……これから、本当の本当に…ずっとずっと、一緒だよ…。」あ「うわぁぁぁぁぁん!良かっ…ひっく……良かったよぉぉぉぉ!」
◆それからしばらくの間、あかりは私の胸の中で泣き続けた。―――あぁ、確か前もこんな感じだったよな。あかりが私の胸で泣いて、それで喉を潰しちゃったんだっけ。……でも、悲しみと絶望の涙だったあの時とは何もかもが違う。今は…嬉しさと、安堵と、希望の涙。―――
―――あかりの心を暗く深く覆っていたもの全てが、その涙で洗い流されつつあった。―――
(最終回pixiv #32334771 »へ続く)
★あとがき:
実はずっと寝たふりをしていたあかりちゃん。
それを踏まえたうえで、もう一度前回の挿絵の2枚目を見ると、何とな~くあかりちゃんが”寝たふりっぽい表情”をしているのがお分かり頂けるのではないかと思われます。前回のアレを描いた時点でもうこの展開にしようと決めておりましたので(`・ω・´)
ちなみに、今回の2枚の挿絵の構図を見て「おや?」と思った方はこのシリーズを1話からしっかりご覧になられている方です(何
そして次回、いよいよ最終回です。
エンディングまで今しばらくお付き合い頂ければ幸いでございます。