
Artist's commentary
「うわーんテルテル~」
「淡?なに?」 「菫先輩が酷いんだよ~。ちょっとくっついただけなのに退けとか言うんだよ?」 「……菫も本気で嫌がってるわけじゃない」 「あ、うん、知ってる。菫先輩て私に恋愛感情抱いてるし」 「菫のことは私が一番知っている。後輩のスキンシップで怒ったりしない」 「あれ?スルー?」 「スミレの花言葉は小さな愛、誠実。菫にぴったり、ふふ」 「何か語り出した。ん?待って、テルーだって狙い撃ちの癖知らなかったよね?なのに一番知ってるとかソレってどうなの」 「勿論知っていた。菫に教えなかったのは得意技を対処された時の反応を見たかったから。慌てふためいて泣きべそかいたりしたらたまらなかったけど、菫はやっぱりそんなヤワじゃなかった。嬉しいような残念なような、そんな気分」 「分かる。え、でも何で私たちに癖のことを探らせるような言い方を?」 「私以外で菫の癖に気付く人がいないか試しただけ。でも対局中には誰も気付けなかった。つまり菫を一番知っているのは私ということの立証。相手にならない」 「私だって気づいてたもん!テルーがそうやって得意げに話すのを内心で嘲笑ってやろうとしてたんだもんねー!」 「なら菫の癖って何?」 「えっ!?あ、あわわわ、えっと、えっとね?あの……可愛いしぐさ、かな?」 「正解。……で?私に何か用?」 「え?あ、うん。わ、わーんテルテル~、菫先輩がいいこいいこしてくれないからテルーにしてもらいに来たんだよ~」 「そう、ぽふぽふ」 「あ、ぽふぽふじゃなくて」 「菫はうざい子は撫でない。一定の距離を保って興味があるような無いような、そんな素振りで近づいてそれとなくおねだりすれば撫でてくれる」 「へー、そうなんだ!え、うざい子?え?」 「ぽふぽふ」 「あ、ぽふぽふじゃなくていいこいいこ」 「ぽふ」 「もういいよ~、尭深先輩にしてもらうから」 「尭深は玉露関係で早退した。誠子にしてもらえば」 「え、亦野先輩は固そうだからちょっと」 「そういうこと言っちゃダメ。後輩の面倒見は私たちの中で一番良い。たぶん」 「だけど、よく窓辺に立って黄昏てるし……」 「本人はかっこいいと思ってるんだし必要以上に突っ込んだら可哀相だから誠子には言ったらダメ。誠子が自覚した時、柔らかい微笑みで迎えてあげることが私たちの最善」 「へ~。でもテルーもやってるよね、あのギギギーってやつとか」 「……?」