
Artist's commentary
Gravity Front
戦争は1週間で終わるはずだった。長くても1ヶ月だ。条約交渉に入ったときは誰もが今度こそと思っていた。だが今はどうだ、宇宙用兵器のザクが地球の上を二本の足でほっつき歩いている。連邦軍? 別にどうってことはない。それより俺を滅入らせるもの、それはこの目の前に広がるクソッタレな泥玉の光景そのものだ。区画整理もされずどこまでも続く大地、温度調整の効かない大気、雑菌はおろか致死性病原菌までうようよしていやがる。防疫プログラムが行われた形跡すらない。昨日は肉食哺乳類が足元を通り過ぎて仰天したが、今日は槍を持った地元住民が平然と歩いている。なんでこんなところに住めるんだ? 信じられない。これが重力井戸の底。ああ、なんてところへ来てしまったんだ……!