Artist's commentary
ヤセンスレイヤー第一章”ラスト・ケイジュン・ヤセンニング”より
6話「ヤセンニング・ディセンディング」
ヤセンスレイヤー覚醒編。
シンカイセイカンは猛威をふるい、その凶牙はネオヒロシマ、クレーの喉元にまで迫りつつあった。
センカンを動かす油はない。しかし空母、ボーキスレイヤーでは夜の侵攻に応戦できない。チンジュフはヤセンでイッキトセーンを誇るケイジュン=クラスの戦力の増強を急務としていた。
しかし資材の投入も多くはできないコーショーから生まれるケイジュンはどれもチカラ及ばず!後ろのガラが銀色だったのでとってあるセンダイの目の前で、日ごとにナカ=チャンが生まれてはコーショーハンマのエジキになる毎日が過ぎていた。
シンカイセイカンの軍勢はそこまで迫っている。
資材も日に日になくなり、味方のカンムスもゴーチンして帰らぬ者も増えてきた。
ショッギョムッジョ。戦いは劣勢に陥れば陥るほど、悪循環して状況を圧迫するのだ。インガオホー!
生き残っているテンリュ。タッタの二人は資源集めに奔走し、ライ=ジュンことキソー、キタカミ、オーイらも昼の戦闘に加わるため、センダイはケイジュン部屋で留守番をするくらいしか仕事がない。
この部屋もだいぶうらさびれてしまった。昼は大半が出払ってしまうし、ケイジュン部屋はセンダイ=タイプの個室のようになっていた。
「センダイ=サン。お茶を淹れて来ました。」
「ジンⅡ=サン...。」
自慢の妹である。コロンバンガラー・ジンⅡ。ケイジュン=クラスの中で火力は最強を誇り、ヤセンでは特殊な能力を発揮するヤセンスレイヤーの一人としてチンジュフで重宝されているセンダイ=タイプだ。
夜は出撃なのに、かいがいしく世話を焼いてくれるよくできた妹に平静を保ちながら、
姉として、センダイ=タイプ=ネームシップとして、自分はこのままでいいのか?
そんな自責を、センダイは日に日につのらせていき、
つもりつもる自戒の念は、そのくすぶる体の奥底に、ヤセン=ニンジャの胎動を宿らせていた。
そしてある夜である。
テイトクも無能ではあるが無慈悲ではない。コーショーで生まれたハズレを資源に戻す作業、ナカ=チャンに至っては、センダイの寝付くであろう夜に行っていた。
だがそれもセンダイは知っている。ルーツを分けるセンダイ=タイプの悲鳴に涙で枕を濡らしていた。
そうしてナカ=チャンは解体される一方、姉妹の絆がなせるワザか、ヤセンにて奮戦するジンⅡの背中が、センダイの脳裏に見えていた。
「シズメッゾォラー!シズメッゾォラー!」迫る底知れぬ数のクチク=イキューの群れに溜息をつくジンⅡ。
今夜は特に多勢に無勢!いくらヤセンスレイヤー・ジンⅡでも、一人では水雷戦隊のしんがりを務めるも帰還の難しい状況に立たされていた。
なぜこんな夢を見るのだ。今のままでは足を引っ張る以外何もできないのに、つらいばかりじゃないか。
くちびるを噛みしめるセンダイを月明かりが照らす。
ふと何者かの気配を感じ、起き上がり感覚を研ぎ澄ますセンダイは、
自らの、内からの声を聞いた。
「ヤセンシヨ!」