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Artist's commentary
凍った雨の束縛の羽:リース
彫刻師モヌが作った「ミゾレ連作」の一つ。キザハシのウガツ王子を誑かす、いや、力ずくで陥れるために作られた「鳥」。
ウガツは気づくと赤いリボンのようなものでぎゅうぎゅうに巻かれていた。
それは少し濡れていて、暖かかった。まるで生き物の舌や内臓のように弾力があり気持ち悪い感触だった。
歪な、虫のような羽を持った鳥はウガツの髪を尖った爪で触る。
だた、何も言わず捕らわれたウガツを見て満足そうにする。
ウガツは体を起こそうとするが立ち上がることが出来ない。
もがいてもリボンは、体に巻きつくばかりだった。
ウガツは歪な鳥から大事そうに撫でられるばかりだ。
ウガツは恐怖でいっぱいになって小便をもらしてしまった。
歪な鳥はそれを舐めるようなまねをした。
ウガツはその隙を見て鳥の頭に頭突きをすると、自分がぐるぐる巻きになっているリボンをぐっと噛んだ。
鳥は悲鳴を上げたが、ウガツは振り返ることもせずに逃げた。
ウガツの体には締め付けられた感触が残った。
それはとても暖かで、濡れていて気持ち悪かった。