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Artist's commentary
治癒能力者:ストローカー(撫でる者)
傷ついたものを優しくなでて癒すもの。
彼はかつて治癒能力者として生きていたもの。その体を求めるものたちに酷使され、使い捨てられ下半身はただれおちてわずかに残った肉体だけが鉄の樽に保存されていたという。満たされた水の魔力が彼に自由をあたえ、癒しの魔獣とした。
聖なる雨の世界で、王はその人形の入っていた樽の蓋を開けた。
人形は木のような、王を見上げて微笑んだ。
治癒能力をもったその人形は、もう疲れ果てた隻眼の王の体を優しく撫でて癒している。
ストローカーはヨドミハザマのもたらした残虐な正義の結果の成れの果ての一つだった。
隻眼の王は、ストローカーの目が片方しかないのも気に入っていて、可哀想に虐げられて人間の少年が仕立て上げられた人形のその姿が可愛いといって、とくに人間の姿に治そうとはしなかった。
ストローカーは自分のその姿をひどく気にしていたが、隻眼の王が「美しい、可愛い」といって誉めてくれるならなんでもよいと思った。隻眼の王はもうすでに触覚も、視覚も失い始めていたんだから、ストローカーの哀れさもわかってやれなかった。