Artist's commentary
東方夢想霖『それでも人は擦れ違うのか』
僕が店に戻る頃には、すっかり日が落ちていた。勝手口の鍵を開けて中に入ると、店の奥の方だけ明かりが点いているのが見えた。霊夢は奥の部屋で寛いでいるのだろう。僕は慣れないトーンで『ただいま』を言った。しかし留守番しているはずの霊夢から何の反応もない。奥へと歩みを進めると、僕の部屋の明かりが点いているのが見えた。なるほど、待ち草臥れた霊夢は夏服を探して僕の部屋に辿り着いたようだ。「仕方のない子だな」ポツリと呟きつつ歩き出そうとした瞬間、妙な音が聞こえてきて思わず動きを止めた。よく聞いてみるとそれは子供か女性の声のようだ。その声に聞き覚えはない。僕は手近にあった長めの薪を握り締めた。霊夢が居るのに妖怪が悪さをしているとは考えにくいが、万が一という可能性もある。僕は忍び足で歩みを進めた。声が聞こえてくる部屋の入り口まで辿り着いた僕は、意を決して襖に手をかけ、ゆっくりと開いた。そして僕の目に飛び込んできた光景は、身動き一つ出来なくなる程驚くべきものだった。部屋の中では霊夢が、僕の布団に横たわり、僕の枕に顔を埋めていたのだ。その手は局部へと宛がわれ、その指は激しく陰部に触れているではないか。「ん・・・ふ・・・んぅ・・・ん!」さっきから聞こえてきた声の主は霊夢だったのだ。彼女はこんな事をしているなんて・・・。「ん・・・ん・・・ん・・・之助さん・・・」卑猥な行為に勤しむ霊夢の口から人名らしきものが漏れてきた。「霖之助さん・・・霖之助さん・・!」余りの事に耳を疑った。その名はあろう事か僕の名なのだ。同名の誰かか?と一瞬考えたが、彼女が行為を行っている場所が場所だけに、その名前はほぼ僕の事であると考えて間違い無いだろう。僕が思考に耽っている間も、霊夢は切なげな声を漏らしながら夢中で行為を続けている。その動きは段々激しくなり、部屋の外にいる僕からも愛液が飛び散っているのが見える程だ。「霖之助さ・・・霖之助・・・さ・・・ん・・・ん・・・ん・・・んぅ・・・!」そして声の大きさと指の動きがこれまでにない程激しくなった瞬間、霊夢は絶頂を迎えたようだ。「~~~~~~~~~!!!」声にならない声をあげ、彼女は布団に突っ伏した。同時に軽い眩暈に襲われた僕の手から、薪がスルリと落ちた。■10/2/0:18キャプションを加筆・修正しました。