Artist's commentary
【PFLS】活路【ホースヒルの戦い】
流星群の欠片探してるってよファフタスillust/73224656 女占い師illust/73331959 婚約者illust/73121235 婚約者の兄illust/73016282
流星群の欠片、イベント元illust/73287130
「星に祈っておるのか。お主はそういったものに頼らないと思っていたがな」
流星群の夜、ファフタスはエルダーグラン進軍に同行していた女占い師に声をかけられた。
「居たんですか。星に祈ることも古来から行われてきた立派な儀式です。否定する気はない。それにそういったものを否定するなら貴方の占いなど信じなかっただろう」
「それもそうじゃったな」
女占い師はファフタスの婚約者の死を予言したのだ。彼女の能力は嫌というほど知っている。散々利用もしてきたのだ。死は避けられないことなのだろう。
「辛気臭い顔をするでない。運命を捻じ曲げてやるという気概ないのか、ご当主様?」
もちろん、諦めているわけではない。ファフタスは婚約者の死を回避する道を模索していた。
「流星群の欠片というものがあるという、あれについてどう思う?」
眩いほどの星が降ったあと、ごくまれに流星群の欠片が見つかるという。それは願いをかなえる奇跡を起こしうる宝石だという。
「ああ、あれは本物じゃな。あれの奇跡は何度か見たことがあるぞ」
「そうなのか!?」
わずかに期待していた分ファフタスは前のめりに女占い師の肩を掴んで反応した。女占い師は落ち着けとファフタスの手を振り払う。
「見つかれば、の話じゃろう。持っておるのか?」
「いや、でも必ず手に入れる」
「それにな、運命は変えられぬ。わしの視る未来はある程度ブレがある。人間はいくらでも変わるからな。運命を変える力もあるのじゃ。しかし彼女の死の予言は変えられぬ。あれほど運命の糸に雁字搦めになった者は久々に見た」
女占い師はファフタスを失望させないように慎重に告げた。
「……そうだったな君はそう言っていた。理解っていたのだが」
「辛気臭い顔をするでないと言ったであろう。手はある」
「奇跡を起こす石ですら無理なんだろう、どんな手があるというのだ」
「彼女の死は回避出来ない、そもそもどうやって死ぬかもわからぬ人間の運命を奇跡で変えるのは無理があろう?」
たしかに言われてみればそうだ。しかしどうやって死ぬか解れば?ファフタスは一つの結論に達していた。
「つまり、彼女が死んだあとなら奇跡を起こせると?」
「そうじゃ、奇跡を起こすなら目的は明確化せんとな。もちろん彼女が死んだ直後に限る。魂が散ってしまったらどうしようもないからな」
ファフタスは思いもよらぬ考えだったので驚いた。彼女の死を回避することばかり考えていたのだ。よもや運命を成就させるなど考えもしなかった。
「叡智の名が泣いておるぞ。まったく身内のことになるとてんでダメじゃな。おぬしは」
「いや、助言感謝する。まったく、君には頭が上がらない」
「納得するでない。お主のしなければいけないことは二つ。流星群の欠片を手に入れること。そして彼女の兄と話をすることじゃ」
「シャリヤと……」
ファフタスは親友の顔を思い浮かべた。責任感が強く繊細な彼は、自分の行動が原因でカサドーリエに入ってしまった。止めようとしたが、彼の決意は固く無理だった。後で聞いた噂で彼が自身を極限まで追い詰めているのが手に取るように解りファフタスは後悔していた。
たしかに、今のファフタスは立場上、カサドーリエと一緒に行動することは難しい。そもそも団長の月凪に婚約者のことを報告したのにけんもほろろだった。今、彼女の死に一番近いのは兄、シャリヤだ。彼女がカサドーリエに居る原因でもある。そもそもファフタス自身の情けなさが産んだ結果だった。
たしかに逃げてばかりはいられない。ファフタスは一歩を踏み出そうとしていた。