Artist's commentary
【PFLS】悪魔【英雄と魔王の戦い】
エルダーグランには人馬の姿をした悪魔がいるという。
それは魔王の騎士で、夜空を映したような真っ黒な馬体に、真っ黒な甲冑を身に纏っている。
瞳は血の色で、口は大きく裂けて牙が覗いている。
天を突くような角は、暗闇の中で鬼火のような青白い光を放っている。
手にした巨大な槍斧を振るい、向かってくるものを容赦なく突き刺し、叩き潰す。
そして不気味な笑みを浮かべるのだという。
子供の頃に読んだ本に、そんなおはなしがあった。
魔王の騎士なら、そんなのがいてもおかしくはないだろうが、子供を怖がらせるための御伽噺だと思っていた。
しかし、戦いの中で、そんな悪魔の姿によく似た人馬の騎士を目撃したという噂話を度々耳にした。
御伽噺のように全身真っ黒で、鬼火のように光る薄気味悪い角を持ってる、と。
ある者からは、それは隻眼だったとも聞いた。
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「これは食えるのか?」
唐突に投げかけられた言葉は、ダルシャーンの耳を疑うような言葉だった。
見れば、ゾクダンは足元の朝露に濡れた草むらにある小さな実を興味津々で見つめていた
「お前…」
友のゲテモノ食いは今に始まったことではない。
食への飽くなき探究心は感心するが、気になったものを取り合えず口にしようとするのは感心しない。
「まったく……わかった。それが食えるかどうかを確かめるのは構わんが、その前にあっちだ」
手にした槍斧を向けた先、遠く朝もやの中に林が見える。
両の耳を前方に向け、隠れ潜む敵兵の出す僅かな音を拾う。
「遊撃兵……数は……まあ二人でどうとでもなる数だな」
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ファイアランドの兵たちが林の中で味方の合図を待っていた時、それは突然飛び込んできた。
―――二人の人馬
一人は軽装に巨大な刀を手にしている。軽快に動き回り、刀で味方を次々と倒していく。
そしてもう一人は、真っ黒い甲冑に巨大な槍斧。
噂話に聞いた人馬によく似ていた。
しかし、聞いた姿と少し違う。
鬼火のように青白い光を放っていたという角は、宝石のように眩い光を放っており、不気味さなど微塵もなかった。
その輝きに思わず惹きこまれたが、輝く角が最期に見たものになった。
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こちらの「イザの手記<7>【novel/10861879】」で、これでもかとダルシャーンのことを取り上げていただきました。
ありがとうございます!
その中に、ザルカヴァ家の戦士たちのサーガがあるとことを書いていただいたのですが、そのサーガは他国へ渡ったら英雄譚から別のものに変わってしまうのではないか?と思ったあたりからのものになります。
サーガがあったとして、半分以上は祖母の話じゃないかと思いますが!女傑な方でしたので!
ゾクダンさんのゲテモノ食いについて、どこかで触れておきたかったので。
悪魔の話に混ぜてしまって申し訳ありません。
ダルシャーンの角は「ヤクソク【pixiv #73782249 »】」で祝福をいただいたことにより、青白い燐光を放つものから明るい光を放つものに変わりました。
明るいところでしか戦いたくない!
お借りしました(敬称略)
尾断ちのゾクダン【pixiv #73092094 »】
自キャラ
ダルシャーン【pixiv #73027432 »】
PixivFantasia LAST SAGA【pixiv #72934234 »】
※お借りした方の行動等を縛るものではありません。
不都合等ございましたらパラレル扱いでスルーしていただければと思います。
何か問題等ございましたら、ご一報いただけると幸いです。