Artist's commentary
#09・飛べ!アイアンバード
●ガイア石に導かれ北へ進む一行の目の前に広大な大地の裂け目『ヘブンズキャニオン』が現れた。噂話も真実味を帯びる底無しの不気味な峡谷を前に冒険を断念する訳にも行かず立ち往生するゲンキ達。そこに飛行する小型の乗り物がフラフラと飛んできた。それは『アイアンバード』と呼ばれるゲンキの元居た世界の飛行機とは全く違う超技術によって飛行する古代文明の遺跡からのみ発掘されるロストテクノロジーで造られた特殊な乗り物だった。
●不時着したアイアンバードの側には傷を負った冴えないメガネの男が倒れていた。眠りから覚めた男はスエコ達モンスターを見るや否や異常な怯え方をしてホリィ達を戸惑わせたが、一行がワルモンでは無いと判ると今度は大袈裟なほどに喜んで見せるのだった。男の名はエディ…アイアンバードの技師だと言う彼は、アイアンバードを使ってヘブンズキャニオンを飛び越える事が長年の夢だったのだと語るがホリィは男の話と時折口ごもるワケありの様子に違和感を覚えるのだった。
●セピアリエーヴル曰く金に縁が無さそうな顔をしていながら金額をふっかけて来るエディとの交渉の末アイアンバードを譲って貰える事になった一行は7人もの大所帯が乗り込むための大掛かりな改造を施す作業に没頭し丸一日を費やしてアイアンバードを推進力にした気球を作り上げる。出立を明朝に控えたその夜…相変わらずどこか様子がおかしいエディにホリィは問いかけた。エディが峡谷を越えて来た時…1人乗りのアイアンバードに何故大勢が乗るための枠組みが施されていたのか……その真実がエディから語られたのは翌朝の出発直前のことだった。
●準備万端で発進しようとしたアイアンバード気球にエディは突如待ての声を上げた…するとエディの行動を阻止しようと物影に潜んでいたムーのワルモン・クロロマンの集団が飛び出して来た!エディは気球作りの最中に彼等に脅され大量のゴールドも渡されてアイアンバードに離陸と同時に墜落するよう細工を施してしまっていたのだった。迎撃に出たミント達に代わって気球によじ登ったエディはアイアンバードを直しながらホリィに真実を告げる。ヘブンズキャニオンの向こうはムーによる支配が進んだ危険な土地であること、
その世界から仲間達と共に脱出しようとして失敗し仲間を見捨てる形で自分だけが助かってしまったこと…そしてもう二度と仲間を見捨てるなんて事はしたくないという…それは後悔や恐怖・自己嫌悪と懺悔といった複雑な想いを振り切ってブチ撒けられた彼の本心の叫びだった。ほんの数日とはいえ自分に良くしてくれた少女と気の良い仲間達を助けるためにエディは気球にしがみ付いて来たクロロマンの隊長を道連れにヘブンズキャニオンへ落下する。あわや底無しの谷に消えるかと思いきやエディは大事に首からぶら下げていた金貨袋を代償に生還し、まるで憑き物が落ちたような晴れやかな顔で仲間達と共に北へと飛んで行くアイアンバードを見送るのだった。
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