Artist's commentary
【PFAOS】鉄皇【星の船の残骸】
【企画】pixivファンタジアAge Of Starlight(https://www.pixiv.net/artworks/78509907)
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——星石食らいどもの餌場、星の船の残骸と呼ばれる遺跡は今や二帝国との戦いで騒音の坩堝と化していた。
インティニア人の攻撃は熾烈を極め、マホマホ族が【月食い】と呼ぶ巨大な個体さえも魔法の太陽に焼かれ、自慢の触手の多くを失い、動きに衰えを見せていた。
その腹に呑み込まれていると目される【崩壊の星光石】の入手が女傭兵に下された指令だった。
隙をついて月食いの口腔内に辿り着いた時、生物の奥より轟く呼吸音と外の騒音に混じりとも異なる声が飛び込んでくる。
「シェーダァ!!」
傭兵が振り返るや否や、頭に炎を宿した巨体が砲弾の如き速度で月食いへと迫っていた。
その巨体が名を呼んだアンチェインの女艦長が、冒険を経ていま自ら囮となっていること(https://www.pixiv.net/artworks/79819593)も、その女艦長と目前に迫る巨体が強い絆で結ばれていることも傭兵に知る由はなく、そして興を引くことではなかった。
その視線は鋼の胸元に赫赫と輝く石を睨めつけ、相手がただのはがねではない事を瞬時に理解していた。
「機甲か。土産が増えたな」
傭兵は低く囁くなり腰を軽く落とし、鉄鞘を左手に握り込む。剣に嵌め込まれた星光石が仄かに輝き、既に熱を帯びはじめていた。
その様に気付いた機甲闘兵が中空で身を捻り、化物の口腔へ飛び込むまでの時間は一度の瞬きに等しかった。
接触の寸前、女傭兵の抜き放った刃が溶鉱炉じみた熱を帯びて鋼の装甲を迎え撃つ。しかし、
これでは断てない。
白い顔に驚愕を浮かべるより早く切っ先を操り、機甲の上体から腰に伸びるパイプを掻いた。
そんな生温い攻撃が機甲闘兵を止められないことを女傭兵は知っていたはずだった。
斬撃と同時に繰り出された鋭い爪へ翳した左腕はたやすく弾け飛び、掠めただけの左半面はまるで砂のように抉られ、あっという間にどこかへ飛ばされていった。
これほどまでの強大な力と死の気配に触れるのは、廃星と呼ばれる女にとって実に稀有なことだ。
それは血の代わりに夥しい量の星屑を散らせ、砕けた頭蓋から煌めく石を覗かせたまま、残った口角を吊り上げて笑ってみせた——
<星の船の残骸の記憶>
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※不都合ございましたらスルーにてお願いいたします。
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お借りしたもの
■Xe型特殊鎧装試作零号機「鉄皇」(https://www.pixiv.net/artworks/79324639)
■強襲陸艦アンチェイン 副艦長グラッド(https://www.pixiv.net/artworks/79000680)
■強襲陸艦アンチェイン 艦長シェーダ(お名前と流れのみ)(https://www.pixiv.net/artworks/78953344)
■黎明の遠雷と青い閃光(https://www.pixiv.net/artworks/79819593)
■廃星ヒュンドラ(https://www.pixiv.net/artworks/79204617)