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Artist's commentary
ただただ穏やかな日
先ほどまで城を包んでいた赤子の泣き声もやみ、静まった部屋には窓から柔らかな夕日が差し込んでいた。
「あなた、明日にはパルミラ国王がこの子の誕生を祝いに来賓するとの事ですよ」
王妃の言葉に対して動きが早いなと呟き隣に座る国王は少し苦笑いをした。
「この子の誕生祝いもありますが交易の談合が本題。いえいえ真の本題は私たちを茶化すことでしょうね。あの人は。」
王妃は煩わしそうな口調とは裏腹に口元にはかすかに笑みを浮かべていた。
王妃は我が子を抱きながら愛おしそうに見つめる。先の戦で多くのものを失った。親しいもの同士が立場で剣を向け合う、そんな悲劇とは無縁の未来をこの子たちには生きて欲しい。こんな穏やかな日が永遠に続くことを願わずにはいられなかった。