Artist's commentary
幻想轟家
轟家の哀しいところは、この光景がどんな世界線でも絶対にあり得ないところです。
轟家が歪んだのは言うまでもなく炎司のせいですけど、じゃあどうすれば歪まなかったのかと言うと、そんな世界線はないんですよ。轟家の子達は炎司が自分の野心と欲望を達成するために生まれたので、もしも炎司が自分だけの力でNo.1を超えようとしていたら、子は作ってなかったし、そもそも結婚もしてなかったんです。4人も子を儲けたのは、ひとえに「目的」のためです。それがなければ歪まなかったと同時に、それがなければそもそもこの家庭は存在もしていなかった。
儚い幻のことを「蜃気楼のよう」と例えることがあるけど、蜃気楼って光の屈折率の関係で他の場所にあるものが見えちゃう現象のことなので、どこにも存在すらしないこの光景は蜃気楼ですらない。正しく「幻想」なんです。
燈矢はいくつなんだろうなあと考えたけど、冬美・夏雄・焦凍が3つずつ離れてるので、燈矢も冬美の3つ上かなあというイメージです。今生きていたら25ですね。…生きていたら。
私は燈矢=●●だと思ってるので、体型とか服装とかはそういうアレになってます。
現在の冬美がしっかり者で弟たちを見守るお母さんのような役目なのは、幼い頃に母が入院してしまったからで、普通に母親がいたらちょっと口うるさくて夏雄とよく口喧嘩するお姉ちゃんになってたんだろうなあとか。夏雄は元気でやんちゃな普通の男の子で、弟の焦凍にお兄ちゃんぶったりしそうだなあとか。
燈矢はやわらかな髪質と色、垂れがちの優しい目つきがお母さん似で、瞳の色だけはお父さん似。性格も穏やかで優しく、弟達をよく見ていて、周囲からもお母さん似とよく言われる。
冬美は髪色のベースはお母さん似だけど、髪質が硬めなのはお父さん似で、本人はお母さんみたいなサラサラの髪がよかったって思ってる。口に出すとお父さんがちょっと傷ついた顔をする。瞳の色はお母さん似。
夏雄はお父さんの髪質とお母さんの髪色、お母さん似の瞳。骨格がしっかりしていて成長すると兄弟で一番身体が大きくなるので、シルエットは一番お父さんに似ている。
焦凍は両親からちょうど半分ずつ外見を受け継いでいる。髪質はお母さん似でやわらかい。言葉の少なさと言動の天然さは実にお父さん似。
兄弟全員がそれぞれにお父さん似のところとお母さん似のところがあって、あ~紛れもなくこの両親から生まれた子達なんだなあ……家族…家族だなあ……ってしみじみ思うし、思うたびに結果として歪な現実がしんどい。
しんどいな轟家…………