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Artist's commentary
デスサイズ
この世のいたる所に死の使いがいた。彼らはほどよく命をうばって、世界中の生き物の数を調整していた。しかしある時、人間たちが神様へ文句を言いに来た。「 神様、あんなにでっかくて怖い奴らに見張られてたら、私たちいっつもおびえて生きて行かなくちゃいけないです…なんとかしてください!」死の使いは皆そろって山のように大きく、いつでもどこでも人間たちの目に飛び込んで来た。さらに、そいつらが振り回すむちゃくちゃに大きなカマは、生き物の命をすり潰すようにして無慈悲に刈り取って行くので、人間たちは片時も心休まる事なくふるえ上がっていたのだ。
神様はふびんに思ったのか、人間たちには別の使いをよこしてやる事にした。カマのような形のクチバシを持った、人より小さな鳥に乗せて。使いの持つカマもまた小さかったが、それでも、人間たちの命を刈り取るには十分だった。彼らは人間を殺す時にだけ姿を見せ、刈り取って行った。
それからしばらくして、また人間たちが文句を言いに来た。「 神様、あんな変な形の鳥に乗った使いに殺されるのはいやです。それに、知らない間にやられてしまう奴も多くて…私たち死ぬ前は、ちゃんと心の準備をしたいんです。家族にお別れも言いたいし…いきなりはひどいですよ!もっと大きくてわかりやすいやつにしてください 」神様はまたふびんに思ったのか、小さすぎず、かつ大きすぎない使いをよこしてやった。
しかしどんな使いをよこしても、そのたびに人間たちは何か文句を言いに来るのだった。しまいに人間たちは、「死ぬのがいやだ、私たちが死ぬ事自体をやめにしてください!」と言い出した。それでも神様は、生き物が死ぬ事だけはやめなかった。何度頼まれても、神様は怒るでも悲しむでもなく聞き流し、いつでもすずしくほほえんでいた。