Artist's commentary
ボールスクワッシャー
男の練達した剣捌きが紙一重でカサンドラの左胸を掠めた瞬間、確かなものだった筈の男の勝利は崩れ去った。
美しい少女の曝け出された乳房が、戦いの為に研ぎ澄ましてきた男の思考を容易く塗り潰す。
「あっ…ォゴッ」
何か取り繕おうと開きかけた男の口を、逆上したカサンドラの盾による打撃が強引に閉じさせる。
必死に防御を構えようと上げられた右腕を容赦なく斬り落とされ、腹を撫で斬りに開かれ、男は力なく膝をついた。
一瞬の出来事だった。誰が見ても勝っていたはずの男は、不運と情欲によって瞬く間に少女の前に膝をつく敗者となっていた。
「はぁっ、はぁ…ちょっとあんた、生きてる?」
カサンドラが、息荒く呼びかける。隠した胸元へ汗の滴が流れていった。
「これで勘弁してあげるから…どっか行って、手当てしてもらいなさい
もう悪どいことなんてしないで…」
カサンドラのせめてもの優しさは男の耳には届いていなかった。戦う者としての己を、こんな素人の娘の乳に気を取られただけで奪われるなど、認められるものではない。痛みの中で反芻するたび、恥辱と怒りと情欲が男を飲み込んでいく。
俺は本当はこんなガキの何倍も強いんだ…卑怯な手で逆転されて追い詰められたが、ここからだって余裕で勝てる…思い知らせてやる、俺は強い…こんな小娘よりも!
「ちょっと、聞いてんの?あんた大丈夫…」
左手で剣を掴み、起き上がって振りかぶる。
男の視界に映ったのは、こちらを覗き込んでいたカサンドラ、その可愛らしい表情が心配そうな顔から驚きに変わる様子、そして先程自分を陥れた柔らかな生乳房。
こんな…小娘ぇ…♡
カサンドラの右腿が振り上げられ、膝が睾丸を押し潰す。少女に子種を注ぐべくきゅっと引き上がっていた陰嚢は内容物が衝撃から逃れるのを防ぎ、男の生殖機能は破裂音と共に破壊された。
完全に勃起していた陰茎は下着に亀頭を擦りつけながら縁から滑り出て、欲情しきった男の身体がカサンドラとの性交を勘違いするのに充分な刺激を与えた。男の生殖器は今しがた己の意義を奪った張本人である娘に子を孕ませるべく、残された精を放った。
「うぐぅッ、あがああぁっ♡♡♡」
「…えっ?」
下着からはみ出した陰茎が精液を吹き出し、ストッキングに包まれた自分の股を汚すのをカサンドラは呆気に取られたように見つめていた。
「…は?え、え?」
男が白目を剥き泡を吹きながら、自らが撒き散らした白濁に突っ伏すように崩れ落ちる。
「な、なにこれ…せーえき?」
劣情が故に全てを失った男の残骸を前に、カサンドラはもはや嫌悪感を通り越して困惑するしかなかった。
「これ、どーしよ…」