
Artist's commentary
加賀さん
アズレンの加賀さんです。「カッコいい感じ」をやりたかった練習絵。
2枚目は制作過程です。
ほんとにただの練習って感じの作品が続いて申し訳ないです。
配色がハマった感じになったので、派手な感じのライティングにしました。
途中にシッポで数時間ドツボってしまった挙句に全消しするなど、ラフはかなりの難産でした・・・。
今回のイラストは、これまで数か月ためしたことの反省点を踏まえ、「基礎勉強したことの大体のまとめ」みたいな感じのつもりで描きました。
我ながら、数か月かなり色々やってみたなと思います。気づけたことはたくさんありました。
ただAIがすさまじい進化をしていってる以上、この程度のイラストを駆け出しの自分が描いていっても、誰にも名前を覚えてもらえないです・・・(泣)。
これからは漫画の勉強しながら、自分を覚えてもらうためにどういうやり方でいくのか、何を練習していくべきなのか、いろいろ調べて考えていく段階かなと思います。
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私事:
(イラストの出来はともかくとして、絵を描くときに意識すべきことが徐々に固まってきたかなと感じています。
試行錯誤してきましたが、もうすぐでこの私事も終わる予定です。
そのため、何者にもなれていない今の自分が考えていることを、超長文で語ってみようと思います。)
わりとサラサラ頭部とかを落書きできるようになってきまして、描くことに慣れてきました。
さらに練習をしていきながら、今月中には漫画の勉強を開始できそうです。
ただ、次にいよいよ問題なのが、いわゆる「作家性」かなと感じています。
私を知ってくださっている方でも、私の新しい絵を名無しの状態で見たところで、だれも私が描いたとは明確には気づかないと思うのです。
プロ作家の方々の絵って、その人を知っていて興味があったら、「〇〇さんの絵だな」って一瞬でわかることが多いですよね。
でも今の自分にはそれがない。何もないのです・・・。
それがつまり今の私に価値が全くない理由であり、伸びてこない一因なのかなと感じています。
下積み段階なので、数字は気にしないようにしていましたが、もう昔と比べると閲覧数自体が大幅に減りました。
(有名どころの絵師さん以外、一枚イラストタイプの人は明らかに数年前よりブクマ率や閲覧数が減っている人が多く、AI出現後はその流れが加速しているようなので、時代の流れもあるのかなとは思います)
この減り方には、さすがにちょっと焦りやシンドイ思いがあります。それだけに、いまだに見てくださっている方々には、本当に感謝しています。
AI以前は、拙かったとしても、人気の二次創作を混ぜて描いていれば一定の数字が伸びていき、そこから一部の人に絵描きとしての自分を覚えてもらうキッカケに・・・という流れがあったと思います。
しかし時代の流れやAIの出現によって、一気に「最初から一貫した良質なオリジナルのブランドを持っているかどうか」を詰問される時代に変わってしまった気がします。
おそらく誰でも自分で一枚絵を召喚できるようになったことにより、一枚のイラスト自体の価値が大幅に下がってしまったため、二次創作の一枚絵は純粋な二次創作というより、最初から「その作家さんが描いたかどうか」・・・つまりその作家さんにブランドがあるかどうかで価値を見られるようになった気がします。
あとは、AIのハンコ絵の量産により、イラストとの出会いに目新しさがなくなり、「そのキャラ(ジャンル)の見た目の絵だけあればなんでもいいし、その作家に数字がなければ、他の作品は一切見ない」という流れもさらに加速したので、二次創作を通じて作家の名前を憶えてもらうキッカケはなくなっていってると思います。
上記のことは、「以前からそうだったじゃないか」と思われるかもしれませんが、要はそれが劇的に加速して一気に時代が移行して完了した、ということだと自分は思っています。
また、スゴイ絵のAIを見慣れてしまったせいで、求められるクオリティの基準が跳ね上がってしまい、さらにイラストの氾濫の影響で、サムネでクリックしてもらえたりブクマしてもらえたりする確率が一気に減ったのかなと。
時間効率化の時代になり、多くの人が自分の嗜好以外のモノは本当に一切見なくなった流れもあって、シビアな時代になりました。
自分みたいな下積み段階の絵描きにとって、新規参入の壁が一気に高くなりました・・・。
もう純粋に一枚絵としてのイラストを見てもらえる余地のある時代ではなく、完全にブランドを見られる時代に変化したのだと思います。
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情報を持っていなかった以前までは、ただただ「実力不足だから」と安直に考えていました。
しかし、問題の本質はそういうことではなく、フェチズムやブランド作りの点で何も固まってないのが最大の原因なのかなと・・・。
自分のための幼稚な試行錯誤がいつまでも続いてしまっていて、そこにケリがつけられていないんだなと感じています。
今の時点では話になりません。
どういう層の人たちに何を見せたいのかがハッキリしていない、ということにようやく気が付いてきました。
例えばサムネで自分の絵をざーっと見てもらったとき、一言でどんな感じの絵を描いている作家さんなのか、イメージづくりできる感じになっていないと意味がないわけで。
今回のイラストも、そういう意味では、絵の出来云々以前に失敗しているのだと思います。
これが仮に練習じゃなくて、自分の作家としての名前を覚えてもらいたい作品だとしたら、意味のない絵になっちゃってるんですよね。続きがないというか・・・。
誰に向けて何を描いているのかが曖昧になってるんだなと。
自分が毎日続けられる描き方で、生産コストも考えて、自分の嗜好と流行りのすり合わせを考えて、方針を決めて・・・と、そういうことがわかって計算している人が、要はプロなんだなと思います。
絵ではなく、絵以外のことが大事なんだなとわかりました。
こうしてみると、伸びているプロの作家の方々は、明らかにどこかのタイミングで、すごく計算して意図して決めているように感じています。
誰に見せるかだったり、ジャンルだったり、等身や目の絵柄だったり、自分のウリだったり、フェチだったり、延々と同じような構図のイラストを描いたり・・・。
やることを決めるということは、数多くの要素からやらないことを決めきるということなので、要は「自分の作品世界で絶対にやらないこと」を決めてるんだと思います。
おそらく創作で大事なことって、足し算ではなく、引き算の方なんだろうなと感じています。
「作家としての思想(性癖)」に、いよいよ直面してきたかもしれません。
自分が仮にお菓子であるならば、まずポテチなのかチョコなのか、チョコだとするならどういうタイプのお菓子なのか、などなど、お客さんにハッキリ何らかの一貫性を示さないといけないわけですね・・・。
これから成人向け漫画家を目指す者として、自分が描く作品じゃないと見られないものってなんだろう? 見てもらいたいものってなんだろう? と考えるようになってきました。
これからは、そのあたりが課題になってくると考えています。