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Artist's commentary
金魚流転
金魚は最早人に愛玩される事でしか種を維持できないが、人のエゴイズムによって飼い、殺す事を悪とするなら、もし理念によって種を絶やすとしてこれは善だろうか。しかしその様な是非は金魚達にとって如何でも良い事なようで、エサをくれるヨシエさんの事がただ、好きなようだ。ヨシエさんが無料で養魚場から金魚を仕入れる事ができるのは、ここを見つけ、当時は工務店の隠居をしていた養魚場の爺に教えたのが彼女であるからだが、それには硝子管の事は伏せたまま市政を騙して階の権利を手に入れたので口止め料という様な意味合いと、もう一つは、大人の狡猾さで金魚を奪い取ったかの様な事に対する贖罪の気持ちが半分という爺自身の建前になってはいるが、本当の所はヨシエさんに惚れているからだ。爺に自覚は無いし、ヨシエさんにとっても…まあ、多分、如何でも良い事には違いない。