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Artist's commentary
この曖昧な世界で
夜中に腹がへったので食堂に忍び込んだら天使と遭遇した。どうやら反模範的行為とみなされたようだ。慌てずに服を脱ぐ。コイツは一度に一つのことしかできないから、服を着せてくるあいだに冷蔵庫をあさって食い物をさがす。上を着せられれば下を脱ぎ、下をはかせられれば上を脱ぐ。今、SSS(すればするほどセックスピストルズ)では、この無限ループまでの工程をどこまで簡略化できるのかがちょっとしたブームになっている。タイミングしだいではシャツのボタンを順にハズしたり付けたりするだけで可能なようだ。そうこうしているうちに腹もふくれたので、あとは天使にされるがままお姫様だっこで自室まで運んでもらう。母に抱かれるような暖かさをまどろみの中で感じながら、俺は、この世界も悪くないな、と思い始めていた──。