
Artist's commentary
アイを足して
あまりにも咲夜さんがうまく描けないので、本人にラフを見てもらったところ、
「全然ダメ、冗談にも程がある」とあしらわれてしまい、何くそと密着取材をすることに。なるべく目を離さないようにしていたが、気がつくといつも目の前から消えてしまう。ああそうか、恥ずかしがり屋さんなんだなとか思ってニヤニヤしていると、ナイフが飛んでくる。めーりんドンマイ。
そうして得られた情報から何度も描き直しをしていると、咲夜さんが背後からのぞき込み、「まだまだ分かってないわね」と立ち去ってしまう。何くそと思いつつも、紅茶とスコーンの差し入れが嬉しくて、まぁいいかと溜飲を下げる。
そんなことを繰り返しているうちに、彼女が言わんとしていることが何となく分かってきた。
要するにあれだ、『スパイス』が足りないのだ。
じゃあ、それをどうやって手に入れるかといったら、そりゃ咲夜さんにもうアタックするしかなくて、「もっと評価されるべき」「咲夜さんの代わりはいないんだから」「今日もお美しいですね」などと褒め殺し作戦に出たら、咲夜さんが隠れる頻度が高くなった。おいおい、なんでだよと悩んでいたら、嫁のパチュリーがやってきて、「彼女、褒められ馴れてないから。あとジャンプ買ってきて」というものだから、「(ジャンプ買いに)あっちに戻ります」って手紙残して紅魔館を後にしたら、なんとまぁ咲夜さんに背後から抱きつかれて、「私、その……えっと、こういうの初めてだから、なんて言っていいのか分からないけど……その、す、す、好き……になっちゃった、んだと思う……」とか顔を真っ赤にして言うわけですよ。ジャンプ買いに行く人に。
「咲夜さんは可愛いなぁ」って言うと、もじもじもじもじ、もうあれだ、ファービーみたいな感じ。違うか。で、イチャイチャしてたら意を決したように「キスしたい」って言うもんだから、こちらこそとばかり――■というラブプラス設定で描きました。