
Artist's commentary
Project "Blue sphere" 3
「かいこうⅢ」の開発は長期計画。特に急を要しないので、人体に直接影響のある事項のテストがない場合、少女は親組織である海洋保安庁の業務に勤しんでいる。「かいこうⅢ」の開発チームは、その大部分の予算を「かいこうⅢ」の開発に取られているため、大事なパイロットとは言え、テストだけでご飯を食べさせてあげられる程余裕はなく、少女は自らの食い扶持を稼ぐべく組織内の雑務をたらいまわ・・・ コホン。少女は人手の足りてない部署へと新米の組織人として駆り出されているのであった。身体能力向上のためと言う名目の元、現場作業が多く、「かいこうⅢ」に搭載されるサポートAIを備えた小型バックアップブイと共に、洋上の業務をこなす少女。「・・・きっと開発部の連中は私の世間体なんて、これっぽちも考えてないわね」まるで金太郎のように両脇、背中が(透明の膜で覆われているものの)大きく開いたスーツをちょいと摘んで少女がため息をつく。確かにこのスーツは着心地だけは良かった。だけどデザインが難有りだ。恥ずかしくて海に入る時と出るときは顔から火が出そうになる。着水ポイントまで運んでくれた小型艇の職員さんのちらちらとこちらを見る目を思い出して赤くなってしまう。「心拍上昇。トイレですか?もう目標ポイントの浅瀬に来ています。”とびうお”の中にサバイバルキットが格納してあります。上陸してからお使いください。もし我慢できなければそのままして頂いても構いません。多少動きづらくなるかと思われますが、数回分なブクブクブク・・・」そうとくとくと説明する白いタコのようなAIブイを頬を真っ赤にした少女はきっと睨みつけ、がしっと掴んで水中へと沈める。「お、お、お漏らしなんてするわけないでしょっ!ホント、デリカシーないんだからっ!ちょっと恥ずかしくなっただけよ!まったくっ!」ぱっと放すと、ぷぁっと顔を出すAIブイ。「やる事が過激です。私とあなたはパートナーなのですよ?あ、水中に沈んでる間にサーモグラフィで観察しましたが、催されてるわけではないのですね。ヨカッタヨカッタ」「ば、ば・・・」真っ赤になって涙目になった少女がしたたかにAIブイの頬(?)を打ち据えた。「このヘンタイ!しんじゃえ!!ばかーーーーっ!!!!」