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Artist's commentary
小人之若筍小向日葵添腕
ご注文の本日の椀物になります
毛について
浮世絵(版画)がロストテクノロジー化した原因は原画を担当する絵師よりも版木を掘る彫師とそれを錦絵にする摺師の技術が失われたせいだろうと思うんですが。彫においては特に「毛」生え際やうなじはもちろんですが、春画においては「陰毛」の表現がすごいですよね。ふつうに鉛筆で描くだけでも一苦労ですがそれを凸版にするってどんだけ・・・大開絵(おおつびえ:性器のドアップ絵)のとんでもない細い毛が絡まりあっているところとかまあもうね。明治期のだともう適当な彫でそれを手彩色のぼかしでごまかしてます。
さて、「わきげ」ですが、春画においてはあまり重視されてない毛です。たぶんうなじや生え際の後れ毛の方が重要視されているでしょう。交合と性器を描くことに重きをおく春画では「陰毛」は性器の表現とともに細かく、それによってモデルの年齢や境遇を判別できるほどです。陰毛の処理をする=商売女の化粧の一つでして、その様子を題材にしているものがあるほどです。が、腋毛に関しては、処理をされていないので自然のままにはえていただろうにもかかわらず、描いてないものや、思い出したかのようにとりあえず書いてあるといった感じですね。そもそも和服の形状や、「見せ方」(うなじを露出する為に肩から襟を落とすと当然腋は体に密着しますよね)からして「腋」を意図的に見せるということはないからなあ…