これはただの妄想なんですけど、
バイトあがりにバックヤードから薄ら寒い夜道に出た瞬間、嗅ぎなれない臭いを感じるんですよ。
それと一緒によく知った香水の香りがして、そっちは先輩の匂いだってすぐ気づくんですよね。
階段を下ると案の定先輩が立ってて、こっちに気づくと同時に悪戯気な笑みを浮かべながら、
私の顔に向けてライターの火をつけて言うんです。
「後輩クンも一服してく？」って。
そこで一瞬アレ？っと思って「タバコ吸うんですね」って返すと、
意味深げにクスクスと笑い声をあげながら彼女はライターの火を消すんですよ。
引っかかるものは感じながらも、楽しそうな声音で「じゃあ、帰ろっか」って言われたら
路地から抜けていく背中についていくしかできなくて、私は違和感の正体にはついぞ気付けないんですよね。
ここまで全部妄想なんですけど辛くなってきた。