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Artist's commentary
夜の明かり
夜九時を過ぎたら、人の気配がぐっと減って、時々独り占めできる時間もできる。
季節は春とはいえ、標高の高いこの場所では夜はぐっと冷える。
ここに内湯はなく露天のみ。温まっていない体で外に出ると、それだけが体が縮こまる。
まずは急いで湯舟に飛び込み、じわりじわりと体を温める。
体の芯が温まったら、外に出て石の上に座って、夜風を感じる。
湯煙が浮かんでは消えて、浮かんでは消える。
照明を受けた湯煙が、不思議な色の光を放ち、庭全体を包み込んでいく。
時に晴れ、時に煙に包まれる。"隠れ里"とはこのような場所のことをいうのかもしれない。