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Artist's commentary
「遡行軍は血を流さない」
二人暮らしのワンルームに漸く帰宅した。
恋人はこの時間には既に寝ている筈だ。
しかし、何か物音がする。
家の中に電気がついている気配がない。
何かおかしい。
急いで鍵を取り出し震えながらどうにか鍵を開ける。
そこに居たのは恋人でも何でもなかった。
「残念な事だが、遡行軍は血を流さない。間に合わなくてすまなかった」
真っ赤な床に立つ人とそこに倒れる人らしきものがあった。あ、キッチンカーペットお気に入りだったのに、洗えば落ちるかな。
「ここは政府の管轄が処理する、もう行くぞ」
知らない男性に腕を引かれる。ていうか誰だよ。
「俺はお前と未来で約束した。だから今ここに来た」
何言ってるんだかてんでわからない。それより俺の恋人の元へ行かなきゃ
「…すまないが、行くぞ」
ワンルームに続くドアの隙間からは血が流れ出しているのを見なかったことにしたかった。
そのまま本丸に連れてこられてなんやかんやで審神者に就いて暫く経つ。
あの日と変わらない赤髪の男と向かい合う。
「大包平、遡行軍を斬りに過去へ飛んでほしいんだ」
今は必要のなくなった部屋の鍵の片割れを祈るように手渡した。