Artist's commentary
Thinbook Publisher
前世紀末頃から盛んに印刷されるようになった所謂"Thinbook"は、保管場所が少なくて済むことやその高い実用性が評価され、数年で出版物の7割程度を占めるようになった。本の薄さを競う動きも過熱気味となり、一時は平均1-2mmを割り込むまでとなったが、この動きに対し"Fatbook Society"を始めとする一次権利者連合は激しく反発、規制法の制定を求めるものの、政局の混乱で法案は骨抜きとなり、加速する薄さ競争に歯止めをかけるには至らなかった。さらに工場設備の流失等に伴う用紙不足も相まって、今年度初頭には平均厚0.5mmを切るまでとなったが、装丁に高い技術力を必要とすることが新規参入への障壁となっているとの声が業界内で高まったため、Thinbook.org の自主規制により今後の出版物については最低3mmとする旨の取り決めがなされ、事態は一定の収束を見るに至った。